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2025年最新のハラスメント関連法制と企業の法的義務

ハラスメントカテゴリの記事

はじめに:2025年のハラスメント対策法制と企業の義務

職場におけるハラスメント対策は、従業員の心身の健康と組織の生産性を守るだけでなく、企業の法的リスク管理においても極めて重要な課題となっています。特に2019年の労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)の改正以降、企業のハラスメント防止対策は「努力義務」から「法的義務」へと変化し、あらゆる規模・業種の企業に具体的な対応が求められるようになりました。

2025年現在、ハラスメント防止に関する法的要件はさらに強化され、中小企業を含むすべての企業において、適切な防止措置と研修実施が義務付けられています。また、2024年の法改正により、被害者保護の強化や、特定の業種における追加的な防止措置の義務付けなど、より厳格な要件が追加されました。

厚生労働省の最新調査によれば、2024年のハラスメント関連の労働相談件数は年間約8万件にのぼり、前年比約15%増加しています。また、ハラスメントが原因の労働紛争のうち、企業側のハラスメント防止研修の不備が指摘されるケースが約70%に達しており、適切な研修の実施が企業防衛の観点からも極めて重要であることが明らかになっています。

本記事では、2025年最新の法的要件に対応したハラスメント防止研修の必要時間、カリキュラム内容、業種別の特殊要件について解説します。人事担当者や研修企画者がハラスメント防止研修を効果的かつ法令遵守の観点から適切に設計するための実践的ガイドとしてご活用ください。

主な法改正の流れ

  • パワハラ防止法(労働施策総合推進法)
     2020年:大企業に義務化、2022年:中小企業に拡大、2024年:被害者保護の強化と具体的指針の改定。
  • セクハラ防止(男女雇用機会均等法)
     2020年:相談体制の義務化、2023年:第三者対応の義務化、2024年:プライバシー保護・外部通報窓口設置の義務化。
  • マタハラ防止(育児・介護休業法)
     2017年:マタハラ対策義務化、2022年:パタハラも対象に、2024年:指針明確化と罰則強化。

2024年改正のポイント

  • プライバシー保護の強化:被害者・行為者双方のプライバシー保護措置を明確化。
  • 外部相談窓口の義務化:従業員100名以上の企業に設置義務。
  • 研修の義務化:年1回以上の研修実施と内容の具体的明示。
  • 業種別の追加措置:医療、飲食、教育、運輸等に特化した対策が義務化。
  • 第三者ハラスメント対応の明示:顧客や取引先からのハラスメントへの対応義務。
  • 罰則強化:違反企業名の公表制度導入、是正勧告の強化。

企業に課せられた法的義務(概要)

  1. 防止方針の明文化と周知
     - 就業規則等に明記
     - 年1回以上の研修、管理職には特別研修
  2. 相談体制の整備
     - 社内窓口の設置、外部窓口(100名以上の企業)
     - プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
  3. 事後対応と再発防止
     - 適切な調査と処分、被害者保護、再発防止策の導入
  4. 記録と報告
     - 対応記録・研修記録の5年間保存
     - 一部企業は行政への報告が必要
  5. 業種別の追加措置
     - 特性に応じたハラスメント防止策の実施

ハラスメント防止研修の法的要件

必須内容(全業種共通)

厚労省の指針に基づき、以下の内容が研修に含まれるべきとされています:

  1. ハラスメントの定義と類型
     - パワハラ6類型、セクハラ、マタハラ・パタハラ、SOGIハラ等
  2. 法的責任とリスク
     - 企業・行為者の責任(民事・刑事)
     - 違反時の罰則や企業イメージの毀損リスク
  3. 防止のための取組み
     - 日常的コミュニケーションの大切さ
     - 言動チェックポイント
     - 管理職の責任
  4. 発生時の対応
     - 被害時の行動手順、窓口利用法、事実確認の流れ
  5. グレーゾーン対応
     - 世代間ギャップ、指導とハラスメントの境界、第三者対応

最低研修時間と受講率

対象最低時間頻度受講率
一般従業員90分年1回90%以上
管理監督者120分年1回100%
新入社員・昇進者60分入社/昇進時100%

研修形式と記録要件

  • 形式:対面またはリアルタイム型オンライン。録画のみの視聴は原則不可。ハイブリッド型は可。
  • 参加型要素:ディスカッション・ケーススタディ・ロールプレイ等を必須。
  • 効果測定:理解度テスト・アンケート実施、次回研修に反映。
  • 記録保存:研修内容・受講者リスト等を5年間保存。

業種別追加要件の例:医療・介護

  • 特有リスク:職位格差による構造的ハラスメント、患者からのハラスメント、勤務環境の特殊性。
  • 研修追加項目:患者対応法、ストレスマネジメント、職種間コミュニケーション等。
  • 研修時間:一般職員120分以上、管理職180分以上、第三者対応別途60分。
  • 頻度:年1回+新人時+インシデント発生時。

まとめ

2025年の法制度下では、単なる形式的な研修では不十分であり、「行動変容」に結びつく参加型・実効性のある研修が求められています。法令遵守に加えて、企業風土としてハラスメントを許容しない文化を育むことが、今後の人材確保・定着にもつながる重要な要素となります。


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